イメージとは違う現状
看護師ってやっぱり女の子のあこがれの職業だと思うんです。
子ども向けの本にもよく出てくるし、なんか優しそうなイメージだし。
アニメのキャラクターなんかでも「かわいい看護婦さん」みたいなのがよく出てきますよね。
でも、実際自分が看護師になってみて思ったのは、看護師なんて現実はそんなキャラクターじゃないってことです。
毎日忙しいし夜勤はあるし疲れるし、とてもそんないつも優しく、なんてよほどのスーパーマンじゃないとできっこありません。
私が看護師になった時、同じ看護師をしていた伯母に「あんたよくこんな面倒くさい仕事選んだね」と言われました。
(そんなこと言うなら私が看護師になる前に言ってほしかったのですが…)
ちなみに伯母は保健士の資格も持っていて、今は病院ではなく、看護師から転職して保健師として地域包括支援センターで勤めていますが当時は普通に病棟で勤務する看護師でした。
伯母には他にも「こんな仕事はよっぽど好きじゃないとやっていけない」「駄目だと思ったらつぶされる前に逃げなきゃいけない」などと散々脅かされました。
最初はあまり意味も分からずいましたが、自分が看護師として経験を積むうちに伯母の言いたかったことが多少は分かってきたような気がします。
看護の仕事ってやっぱり難しい仕事なんです。
仕事の内容が複雑だとか多いということももちろんですが、スタンス的にも難しいというか。
看護は部類的に人と接する仕事で、広い意味ではサービス業だと思います。
医療はサービス業じゃない、なんて意見もありますが、私は人に喜んでもらう仕事は結局サービス業だと思っています。
ただ、看護師は普通の接客業とか物を売るようなサービス業ともまた違うんですよね。
言葉づかいとかマナーとかもちろん丁寧にしないといけませんが、それだけでは駄目なんです。
看護師が相手にするのは「お客さん」じゃなく「患者さん」です。
確かに病院だって儲けなくちゃいけないから、経営側からすれば「患者さん=お客さん」なのかもしれないけど、現場のスタッフにとってみたら患者さんはお客さんとはまた違う気がします。
だって、「お客さん」は基本元気な人ですが、「患者さん」は病気や怪我で苦しんでいる人ですから。
患者さんにもいろんな人がいて、優しい人、怒る人、しつこい人、腹の立つ人、いろいろです。
でも共通しているのは「苦しんでいる人」ということ。
病気でも怪我でも、自分が何かで苦しんでいてその弱くなった部分を見せなくてはいけない人なんです。
だから看護師は仕事上、他人の弱い部分に踏み込まなくてはいけないし、それを受け止めなくてはいけない。
しかも患者さんはたくさんいて、他の仕事も山ほどあって職場内のゴタゴタなんかもあります。
一人一人じっくり対応することなんてほとんど無理だし、逆にまともに対応しすぎると自分がつぶれてしまいます。
なんというか、その加減がうまくできないといけないから看護師は難しいと思います。
私も最初の頃は患者さんのどこまで踏み込んでいいのか分からなかったり、共感しすぎて呆然としてしまっていました。
支えられる所は支えてあげるけど、それ以上は自然に任すというか、そんなスタンスが取れないと続けられないと思います。
まあ、私の場合は生まれつきの呑気な性格が偶然功を奏しているようですが…(笑)